【米国株投資】銘柄分析で体系的に情報を整理できる見出しテンプレートと効率よく収集できる参照先を紹介【初心者向け】

個別株投資をする上で銘柄について知ることは必要不可欠です。しかし、投資を始めたうちは「何を・どこで・どれだけ」調べればよいかわからないと思います。そんな初心者の方へ向けて個別銘柄へ投資する上で押さえておくべき基本的な情報と効率よく収集できる参照先をまとめてみました。

いつでも誰でも体系的に銘柄分析ができる見出しテンプレートとなっているので是非ご活用ください。

各見出しはこれまでに読ませていただいた多くの銘柄分析記事やツイートからも参考にさせていただいてます。この場を借りてお礼申し上げます。

# 調べたキッカケ
- どこで知った?
- どこに魅力を感じて調べようと思った?

# 会社概要
- 誰を対象にどのような事業をしてどのように儲けている会社?

# 企業情報
- 国
- 取引所:
- 業種:
- 設立:
- 時価総額:
- ウェブサイト:

# IPO条件
- 上場日:
- 主幹事:
- 監査法人:
- 公開価格:
- ロックアップ期間:

# CEOと経営陣
- どのような経歴がある?
- どのような経緯/想いでこの事業を立ち上げた?
- どのような未来を描いている?
- どのような素晴らしい経営判断をしてきた?

# ビジネスモデル
## プロダクト
- どのようなプロダクトを提供している?
- そのプロダクトはニーズがどれくらいある?
	- そのニーズはこれから先も増えていく?
- そのプロダクトはなぜユーザーをハッピーにさせる?
- そのプロダクトはユーザに評価されている?
- そのプロダクトはどのように世に広まってきた?
	- そのプロダクトはどのように成長曲線を描いている?
		- どうしたらもっと成長できる?
		- 成長に必要なものはなに?

## マネタイズ
- そのプロダクトはどのように売上を上げている?
	- そのプロダクトは誰から収益を得ている?
		- 売上のうち粗利益はどれくらい?
			- コストはなにに掛かっている?
				- 将来的に削減できる?

## 売上構成比
- そのプロダクトの売上比率はどれくらい?

# 市場環境
## 実現可能な最大市場規模(TAM:Total Addressable Market)
- そのプロダクトの最大市場規模(TAM)はどれくらい?
	- 現時点から売上拡大余地はどれくらい?
		- どうしたら売上拡大できる?
		- 売上拡大に必要なものはなに?

## 所属業界の成長
- 最大市場規模はこれから先も拡大する?
	- 優遇政策などの追い風はある?

## 競合他社
- そのプロダクトに競合はいる?
	- 競合とどちらが顧客獲得規模が大きい?
	- 競合とどちらが売上規模が大きい?
	- 競合とどちらが認知度/顧客満足度が高い?
	- 競合とどちらが成長力が強い?
	- 競合との差別化ポイントはどこ?
		- ターゲット、技術力、コスト差
	- 競合とどちらがバリュエーションが高い?
- そのプロダクトに参入障壁はある?
	- ゼロからはじめる上で一番課題となる要素はなに?

# 成長戦略
- 企業側はどのような戦略を立てている?

# リスク
- そのプロダクトにどのようなリスクがある?

# 業績
## 売上/セグメント比率
- 過去数年/数四半期の売上はどれくらい?
	- セグメント別(プロダクト別)の売上比率はどれくらい?
	- 前年同期比成長率はどれくらい?
	- 前四半期成長率はどれくらい?
	- 季節性はある?
	- 季節性を考慮した上で加速度的に成長してる?

## 粗利
- 粗利率はどれくらい?
	- 競合や同業種と比較して高い?

## 営業費用
- 営業費用はどれくらい?
	- なにに使ってる?
	- 将来的に削減できる?

## 純利益
- 純利益はどれくらい?
	- いつ黒字化できる?

## 過去の決算
- 過去の業績予想を超えなかった期はある?
	- 予想を超えられなかったのはなぜ?

## 将来の業績予想
- 会社のガイダンスまたはアナリストの予想はどれくらい?

# 株価
- 現在の株価はどれくらい?
- 売上比率に対して時価総額はどれくらい?
	- 大体何年で達成が見込める?
		- それは現実的?

## 機関投資家の保有率
- 機関投資家の保有率はどれくらい?
- 機関投資家の保有率は増加傾向にある?

# 投資戦略

以下は各見出しと参照先の補足となります。

調べたきっかけ

あなたは何かを見て、その銘柄の何かに魅力を感じたから調べる気になったのかと思います。運命の出会いですが、これは時が経ったり状況(主に損益)が変わると忘れがちです。忘れないようにメモをしておくと出会い方の再現性や保有時の握力が上がるかと思います。Twitterで出会ったのであればツイートのリンクを貼っておくのもよいでしょう。

企業概要

基本的には一次情報となる目論見書(Form S-1※)を参照することをお勧めします。[銘柄名 S-1]で検索すると見つけられるはずです。もし、最適な結果が出てこない場合は会社のHPには投資家向けページがあるのでそこから探すとよいです。 ※非米国企業はF-1

S-1は基本的にはテキスト形式のファイルで公開されているのでブラウザで表示でき、日本語で読みたい方はGoogle Chromeで一括翻訳することができます。(当記事でも翻訳した前提で話を進めていきます)

S-1を開いたらまず目次をみつけましょう。概要は「ビジネス」の章に書かれています。冒頭箇所にも概要が記載されていること多いですが、内容が端折られている場合があるので「ビジネス」の章を参照した方が漏れがないと思います。

Shopify (SHOP) のForm S-1(Google Chromeで翻訳済み)

もし、Google翻訳の精度では満足できない場合は以下の方法でDeep Lを使う方法もお勧めですが、こちらは最近文字制限が厳しくなり使いづらくなっていますのでご注意ください。

どうしても完全な日本語で知りたいと言う場合は、二次情報となってしまいますが以下のサイトで検索するとよいと思います。

CEO/経営陣

CEOや経営陣を知るのは大切です。彼らが創業メンバーだった場合、企業は我が子のような存在ですから短期的な利益のためにリスクを取るなど長期的な成長に水を差すことはしないでしょう。また、何かしらのビジョンやパッションを持って経営しているはずなので、それらを知ることで私たち投資家自身も長期的な視点で投資がしやすくなります。彼らにどのような実績や横の繋がりがあるかも知ると尚良いと思います。

経営陣は「管理」の 執行役員および取締役 の項目で略歴と共に紹介されています。よりCEOについて知りたい場合は、名前で検索してWikipediaやインタビュー記事/動画などを探すとよいです。

彼らがどのような背景で事業を立ち上げたかは非常に重要なことです。先ほどの「ビジネス」の章の冒頭に記載されていることが多いので目を通しておきましょう。また、上の目次には「トビからの手紙」とありますが、これはShopifyのCEOであるTobias Lütke氏からのメッセージが記載されており、CEO視点でのビジョンやパッションが書かれています。
このCEOからのメッセージは全てのS-1に載っている訳ではありませんので載っていたら目を通すことをお勧めします。載ってない場合でもインタビュー記事/動画を探して見ておくのがよいと思います。(私自身そこまでできていないですが..)

IPO情報

こちらは「引受」の章に書かれています。IPOについては詳しくなく理解に誤りがあるかもしれないので軽く補足するだけにします。

主幹事

一概には言えないですが、主幹事が有名どころほど企業に対する世の中の関心が高いという雰囲気を理解しておけばよいのかなと思います。(私はそういう傾向にあると認識しています)投資家が主幹事をみて取捨選択することは少ないと思います。

監査法人

これについては私自身もBIG4と呼ばれる4大会計事務所であれば安心という程度でしか把握できてません。

4大会計事務所
・ Deloitte
・ PwC
・ KPMG
・ Ernst&Young

最近では2020年12月にトランプ大統領が米国に上場する中国企業の監視を強化する法案に署名した際に中国企業がどこの監査法人を利用しているかで話題になりました。もし、投資先の企業が悪いことをしていてそれが明るみに出たら株価は一瞬で紙くずになる恐れがあるので一応チェックしておいてもよいかもしれません。

ロックアップ期間

ロックアップとは?

株式等の募集や売出しを実施した後の需給関係を安定させることを目的として、発行者や大株主等と主幹事証券会社との間で、その後一定期間にわたり原則として株式等の新規発行や売却を行わないことについて合意することをいいます。

出典: ロックアップ│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券

つまり、このロックアップ期間が終わるまで創業者や役員または社員、ベンチャーキャピタル、親会社など上場前から株を持っている人は売ることができません。そのため期間が終了後に彼らの売りが解禁されて株価が落ちる可能性があります。また、それを懸念してその前から株価は下落傾向になることもあります。もしIPO間もない銘柄の売買をする場合は、これを視野に入れて売買のタイミングを考えるとよいと思います。

ビジネスモデル

これを知らずに投資するのはあり得ませんね。

プロダクトの説明、マネタイズ方法などは「ビジネス」の章に、売上構成比、主要KPI は「経営陣の議論と分析 財政状態および経営成績」に記載されていることが多いです。

プロダクトの説明→マネタイズ方法→売上構成比→主要KPI という順で読み解いていくと企業がどのようなプロダクトを提供していて、どこの数字が伸びればそのプロダクトが成長するのかが理解できると思います。

各章には多くの情報が含まれているのでテキストエディタに各章の当該箇所をコピペで転記して、後でつなぎ合わせるという進め方がお勧めです。

ちなみにIPOから時間が経っている場合は上場当時のS-1だと新しいプロダクトが載ってないので年次(10-K)/四半期(10-Q)決算資料や投資家向けプレゼンテーション資料なども併せて確認した方がよいです。

市場環境

企業/プロダクトが属している市場環境を知るのは非常に大切です。その企業が成長していても市場が小さかったり衰退していたら先が見えます。また株価は未来を織り込みますが、織り込んだ上で市場規模と時価総額が同等のバリュエーションだった場合、株価が更に上昇するとは考えづらいです。

市場環境については「ビジネス」の 業界の概要と市場機会 で言及していたり、「経営陣の議論と分析 財政状態および経営成績」で指標と共にパイに触れていることがあります。しかし、これについてはポジショントークや多少盛っていたりもするので、記載された情報やワードを基に第三者のデータもググってキャッチアップするのがよいでしょう。

この章で一番重要なのは、実現可能な最大市場規模(TAM:Total Addressable Market) とその市場規模の成長率を把握することです。これを知らないと企業がどれだけ成長余地があるかは計れないので当然株価にどれだけ伸び代があるかが判断できません。とはいえ、プロダクトがひとつしか提供していなかったり、何かに依存するサービスでもない限り、明確な数字を出すことは難しいです。ここで取り上げているShopifyの資料にも明確な数字ではなく、過去の成長実績やユーザの課題などを中心に書かれています。その場合は、現時点でユーザの課題を解決しているサービスの市場規模や競合企業のシェアなどを調べたり、純粋に[企業名 TAM]とかで検索して分析記事を探したりします。
市場規模がある程度把握できたら時価総額と比較して成長余地を確かめたり、他企業と比較してどちらが伸び代が大きいかを確認するとよいです。

こちらも日々状況がアップデートされているのでIPOから時間が経っている場合は年次/四半期決算資料や投資家向けプレゼンテーション資料なども確認した方がよいでしょう。

成長戦略

企業が今後どのように成長するつもりかも知っておくとよいでしょう。こちらも「ビジネス」の 業界の概要と市場機会 で言及していたり、章立てて記載されていることが多いです。ちなみに短期的な成長戦略は市場の変化と共に柔軟に対応する必要があるのでS-1では長期的な視点での言及となり、比較的過去の話や概念的な話が多いです。そのため、それらの話を頭にいれつつ年次/四半期決算資料や投資家向けプレゼンテーション資料などと併せて確認し、上場時に言っていたことと行動が伴っているかや、中長期的に企業が成長できる戦略を打てていそうかを判断するとよいと思います。たとえ判断ができなくても何かアクションを実行しているかを知るだけでもよいと思います。何もしないで企業の成長が加速することはほぼ無いです。

書き出す際は企業/経営者はどういう成長戦略を描いているか、そのためにどういうアクションをしているかを抜き出せれば充分だと思います。

リスク

企業にはリスクが付きものなので、「危険因子」の章には沢山の懸念事項が列挙されています。とにかく量が多く中には当たり前なことや同じようなことが記載されていて、つい読み飛ばしてしまいそうになりますが重要なことや競合にも触れていたりするので私は全て目を通すようにしています。

企業によって表現の仕方がユニークだったり、すごい悲観的だったりと意外と色々なクセがあって面白かったりします。

企業特有のリスクは書き出しておいてショートレポート(売りをそそのかす記事)や市場に変化があった場合にそれが予期された出来事であるかを確認できるようにしておくと握力が高まると思います。

競合

市場環境と若干被りますが、競合については別途調べておいた方がよいので分けています。希にS-1でも「ビジネス」の 業界の概要と市場機会 や「危険因子」の章などで挙げられていたり、公開されているビジネス指標で比較されていたりしますが、基本的には載っていないのでググることが多いです。

主にプロダクトの市場占有率、差別化要素、技術力やコスト差、その他の優位性/劣後性を比較できるように文章でまとめたり、表が作れるとよいでしょう。

競合がわからない場合は素直に[企業名 競合]でググったり、以下のサイトで確認します。

wallmineでは [Compare more metrics] ボタンでスクリーニング画面へ遷移することで細かく指標を比較できるので便利です。

これで財務指標及び成長率やバリュエーションなどの比較もできます。

wallmineについてはこちらの記事でも紹介しています。

業績

ここからはより現在に近い話になるので上場時に公開されるS-1には載っていません。決算資料の年次(10-K)/四半期(10-Q)を参照して数字を集めましょう。但し、正確に数字を洗い出したい、または売上セグメントまで確認したいという訳でなければ上記の「wallmine」のようなサイトを参照する方が速いです。

便利なサイトがたくさんあるので、それらをまとめたこちらの記事も是非参考にしてみてください。

最低限、売上(できればセグメント比率)、粗利、営業費用あたりの推移を確認して成長率があるかを確認しましょう。四半期決算は季節や外部要因で上下することもあるのでビジネスモデルの章と合わせて確認するとよいです。

また、企業は決算結果と併せて次期ガイダンスを発表することも多いためそちらも確認しておくことをお勧めします。

過去の決算

過去の決算がアナリストの予想を上回っているかも確認しておくとよいでしょう。失敗してるから投資してはいけないという訳ではありませんが、優良企業は期待を裏切らず結果を積み上げていきます。

どこのサイトで確認してもよいと思いますが、私は一覧で確認できる以下の2つ特に速報性の高いSeeking Alphaで確認しています。

株価

ここまで調べた内容を踏まえて、企業のポテンシャルと過去のバリュエーション(縦の比較)、同業種のバリュエーション(横の比較)を基に妥当な株価かを判断しましょう。私の場合は成長に伴い新高値を更新し続ける銘柄を選ぶようにしているため、株価チャートがキレイな右肩上がりかも確認します。

機関投資家の保有率

オニールのCAN-SLIMで挙げられているので機関投資家の保有率を確認する方も多いと思います。保有率及び保有率の推移は以下のサイトで確認できます。保有率が高ければ良くも悪くも株価は安定しますし、もし直近四半期で保有率が急増していれば注目されている表れです。

終わりに

これらの見出しや参照先はあくまでも多くの銘柄に対して有効に使える汎用的なものとなっています。そのため、銘柄についてより深く知りたい方は視点をずらしたり、各資料に書かれている数字を更に深掘りするなどして詳細に調べ尽くしていくことをお勧めします。

お役立ち

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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